仏教による葬儀は、同じ仏教でも宗派によって多少の違いがあります。宗派としての臨済宗の特徴は、禅を大切にする一面があり、自分自身の中で自問自答する姿に価値を置いている宗派です。従来においては、葬儀の流れの始まりとして、故人の魂を浄土へ導く導師が、個人の髪の毛を剃る儀式がありました。
現在においては、カミソリを当てる姿に形が変わっている場合もあります。この儀式の意義は、この世の執着や未練を落とす、故人の魂に対して、現生の後悔に対して問いただす意味が込められています。臨済宗の考え方の中には、亡くなった魂は、仏の弟子となり、あの世においても修行が待ち続けている考え方があります。
葬儀において、仏教においても特徴的なのは、往生呪と呼ばれるお経の様な物を唱えながら、太鼓を叩く姿です。何も知らない方が儀式に参加される場合、少し驚かれるかもしれません。故人に対して、悲しみによって哀れみによる儀式では無く、新たな旅立ちに価値を置いています。
生きている人でも、悲しみの中で旅立つよりは、祝いの中で旅立つ方が、未練なく旅立てるのと同じ考え方です。仏教の考え方としては、理に適った内容であり、最も故人が現世に未練を残さずに旅立てる内容とも呼べるでしょう。